まえ読んだ石黒正数さんの「ネムルバカ」を結構気に入ってしまったので
今度は同じ作者の有名な代表作「それでも町は廻っている」(全16巻)、通称それ町を読んできました。
それ町は、とある小さな町にあるメイド喫茶を中心として展開される日常系漫画です。
作者がメイド喫茶に一度も行ったことのない状態で書かれた漫画ということもあり
作中のメイド喫茶も相当いい加減なものです。(メイド長がおばあさん、紅茶すらメニューにない等)
こういったゆるい背景の中、主人公である歩鳥のハチャメチャな行動に周りが振り回されつつ進行していく日常ものです。
普通に読み進めていくだけでもしっかりした話の構成やキャラの魅力が詰まっているので楽しめますが、ちょくちょくホラーのような不気味な話が混ぜられていて、それもまたスパイスになって楽しめます。
また、この漫画は時系列をバラバラにして描かれているのが特徴で、2周目には時系列通りに読み直して2度楽しめる作品となっています。
道満晴明さんの「ヴォイニッチホテル」と同じ形態ですね、ヴォイニッチホテルが好きな人はこの漫画も気に入るんじゃないでしょうか。
また、ネタバレは伏せますがラストは日常系とは思えない衝撃的なものになっています。最終巻を読んだあと、考察好きな人はこの漫画の考察だけで丸1日費やせるかもしれません。
普段、あまり日常ものは読まないほうなんですがこの漫画は最後まで非常に楽しめました。
日常ものとカテゴライズはしていますが、この漫画は普通の日常ものよりも現実に寄せているようなものを感じます。読んでいると、節々に「そんな都合のいいことはない」、「まあだいたいこうなるだろう」といった現実に即した納得感を織り混ぜて作られているように僕は思いました。ここらへんがこの作品のキャラのまるでそこに存在しているかのような生き生きとした表現につながっているのかな。
ゆるーく漫画を読みたい方やちょっとした考察をしてみたい方におすすめです。